放牧中

もはや見えぬ光よ かつて私の物だった光よ もう一度私を照らしてくれ

【PROJECT Re FANTASY】を妄想する

【PROJECT Re FANTASY】とは、『メガテン』シリーズ、『世界樹』シリーズで有名なアトラスの『ペルソナ3』、『ペルソナ4』、『ペルソナ5』を手がけてきた橋野、副島、目黒らのスタジオ・ゼロが開発しているゲームのことだ。

公式サイトを見ても意気込みとスタッフ募集くらいしか載っていない(それにしてもスゴイドメイン名だ)。

あとは昨年末に公開されたコンセプトビデオだ。

とりあえず、ナレーション(CV.小山力也)の言葉を書き起こした。

 幻想世界。
その住人たちにも、「幻想」がある。
戦争が近い。
物書きをやめて、槍を握れと命じられる前に、私はなんとしても書き上げたい。
世の救いとなるような、希望の物語を。

やはり違う。
異種族。本当は、誰もそんなふうに呼ばれたくない。
もしも種族が一つなら、戦争など起きないだろう。
そうなれば、遠い国まで自由に旅ができる。
おっと。
王や貴族も、望まれたものじゃない。
誰もが望む理想とは、一体、どんな世界だろうか。

 

(映像では職業紹介)

現実では、誰もが不安にまみれている。
争って、突き放す。
魔法も戦争の道具だ。
ならば、こういう世界はどうだろう?
その世界には種族は一つだけ。
彼らに魔法は必要ない。
学びと技術だけで、巨大都市を築く。
天を衝く硝子の塔。闇のない安全な夜。行き交う車。
そして、満たされた彼らの法には、「民の命は平等だ」と書かれている。

分かっている。
こんなものは幻想、絵空事だ。
だが、私は信じたい。
この物語が誰かの希望となり、やがてそれを体現するもの、この現実を救う本当の英雄が訪れるのだと。
世界は、永遠にこのままである必要はない。
――そう信じる、意志の証。
きっと、それを「幻想」と呼ぶのだ。

第一段落から妄想していこう。まず考えられるのは、我々の住む世界のことをこの(CV.小山力也)は語っている、ということ。「戦争が近い」なんてのは最近の世界情勢のことを指しているし、「槍を握れと命じられる」とは、よく言われる徴兵制の復活のことなんだろうな、と容易に推測できる。そして、戦争が始まる前にこのゲームを完成させたい、という意気込み。

第二段落。「種族=人種、言語」の違いによって現実で争いが起きていると説明し、そして、理想の世界とはどんなものか、と我々に投げかける。

間に紹介される職業説明を下に書き起こした。

職業:聖職者
性格:劣等感を抱えた“ルサンチマン
望み:すべての異種族を追放したい

職業:魔法使い
性格:罪悪感を抱えた“クレーマー
望み:正規兵となって戦果を上げたい

職業:戦士
性格:無力感を抱えた“ムッツリ”
望み:夜の闇にまぎれ、消えたい

職業:盗賊
性格:疎外感を抱えた“ユウジュウフダン”
望み:馬車を盗み、今の住処から逃げたい

職業:地方領主
性格:孤独感を抱えた“カマッテ”
望み:支配階級を昇りつめたい

聖職者はレイシスト。世界中で蔓延しているらしい。魔法使いは非正規雇用者。戦士は社畜。消えたい、だなんて「死にたい」と言っているようなもの。残りの二つは、今のところピッタリ当てはまりそうなものが思いついていない。

現代の我々の立場をいくつかの職業で紹介すると、第三段落では、まるで科学技術によって繁栄したこの世界こそが理想の世界だ、と言ってくる。

しかし、現実はどうだ、と言わんばかりに第四段楽では「幻想、絵空事」と切り捨てる。それもそうだ、この世界は法に「平等」と記されているにもかかわらず、不平等は是正されない。ホモサピエンスという種族では一つなのに、争いは耐えない。そんな現実に絶望する人にとって、このゲームが希望となるのだ、と言ったところで映像は終わる。

 

現代を舞台にし数々の物語を紡いだアトラスが、正統派ファンタジー!? と誰もが耳を疑った。しかし、こうも熱い覚悟を見せられては、それを信じて待つしかあるまい。

願わくば、本当に戦争が起きる前に発売してほしいものである。