劇場版『Wake Up, Girls! 七人のアイドル』を観て
雪の降る勾当台公園。
Wake Up, Girls!の最初で最後のライブの幕が上がる。
小さなステージに立つ島田真夢を目撃した大田/私は呟く。
「あれは……島田真夢じゃないか……!」
誰かを幸せにするということ。それには3つのタイプがあると思う。
世の中の多くの人を幸せにできる人。
自分の周りの身近な人を幸せにできる人。
それと、自分を幸せにできる人。
人生100年時代。
SDGs(持続可能な開発目標)。
新しい生活様式。
この社会は綺麗事で溢れている。
ときには「#」を添えて綺麗事をシェアする。
人間は「世の中の多くの人を幸せにできる」ことを求められる。
実際、多くの就活生は「人の役に立つ」ことを軸に就職活動を行う。
『Wake Up, Girls!』に登場するアイドルグループ、I-1club。
「休まない、愚痴らない、考えない、いつも感謝」というブラック企業の社訓のような心構えが象徴するように、I-1clubはそんな資本主義社会のカリカチュアだ。
表では綺麗事を謳いつつ、その裏ではすり減った部品が脱落していく。
この社会で、人間は代替可能な存在でしかない。
「かけがえのない存在」なんてありえない。
だからこそ、島田真夢はI-1clubを抜けた。しかし、グループの人気は落ちなかった。
そういうものだ。
そして、島田真夢はWake Up, Girls!に加入する。
自分は代替可能な存在ではないと証明するために。
自分を幸せにするために。